阻集性能について 
   
  Q:  グリース阻集器の掃除周期を7日から半分程度(2〜3日)に短くすることによって、阻集効率は向上するのでしょうか。
    A:  掃除周期を短縮すれば阻集されたグリ ース量は減少しますが、阻集性能に影響する分離層はほんの少し広がるだけで、グリースが浮上分離する為に槽内に滞留している時間はほんの少ししか延びません。また、排水中の油分濃度が100ppm以下になりますとエマルジョ ン化した状態となり、グリース阻集器の阻集原理である自然浮上法では短時間に浮上させることは不可能ですので、掃除周期を短く しても阻集効率の向上には大きく 貢献しません。
   
    Q:   学会規格のグリース阻集器の選定基準は、下水道法に規定されているノルマルヘキサン抽出物質含有量(動植物油脂類)の30ppm以下となるように作成されているのでしょうか。
    A: グリース阻集器は、排水処理施設における有効な前処理装置となっており、学会規格では、グリース阻集器に流入する排水中の油分濃度が5000ppm時での阻集効率を用いて性能評価 を行っています。
 規格に適合したグリ ース阻集器を実際の現場に設置した場合の排水中の油分除去率については、規格内の付属書F(参考)の「F.1 阻集器のちゅう房使用時における排水中の油分除去率」に記載しております。 そこには、グリース阻集器に流入する排水中の油分濃度とグリース阻集器の油分除去率の関係が示されており、その結果、下水道法に示されている 30ppm を満足できないと考えられます。
 なお、下水道法を満足できないならグリース阻集器は不要ではないか、とお考えになるかもしれませんが、排水管の閉塞には油分濃度が高いもの(100ppm以上)が大きく影響します。 高濃度の排水に対 してはグリース阻集器がその能力を発揮しますので、適正な容量・構造を備えたグリース阻集器の設置と維持管理が重要と考えます。
     
    Q:   流入水の油脂分が、洗剤によって乳化している場合はグリース阻集器の分離機能が低下してしまいます。これの対処法をいくつか教えてください。
    A:  乳化した油脂分は生物・化学的分解の他、遠心分離、膜分離、電荷や温度を変化させて界面活性剤の状態を変えることで乳化状態を解いて分離回収する方法などが考えられているようですが、いずれも連続的に行うには相応の装置が必要となり、グリース阻集器とは別物です。
 SHASE-S217-2016の付属書E(参考)グリース阻集器の維持管理上の留意点の項目では、汚れを拭取ってから洗うとか、洗剤使用量の削減などに留意することを推奨しています。
  Q:  現在店舗に付けているグリース阻集器の阻集効率は50%程度ではないかと感じています。認定基準に達していないのは何が原因なのでしょうか。
    A:  グリース阻集器へ流入する排水の油脂分の濃度が下がると阻集効率も下がります。このことはSHASE-S217-2016のP21やP54のグラフで解説されています。グリース阻集器の阻集性能試験は5000mg/Lの流入排水が累積で250mg/L以下になれば合格範囲ですので、これより濃度の低い流入排水は、それに含まれている油脂分の粒径も小さい物が多くなり、短時間で浮上して分離されることが難しくなって、その結果、阻集効率が下がります。
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