油脂分を分解する菌やオゾン等を利用する装置に対する対応について
   
  Q:  油脂分を分解する菌(一般にはバイオ菌と言っています)を利用する装置は、どのような仕組みになっている のでしょ うか。
    A:  グリースの分解と悪臭の軽減を目的として、グリース阻集器内に油脂分解菌を投入し、ばっ気装置によって槽内をばっ気して、菌が持つ油脂分解能力を活用するものが一般的です。
   
    Q:   オゾンを利用する装置は、どのような仕組みになっているのでしょうか。
    A:  腐敗性菌の制御と悪臭の軽減を目的として、ばっ気装置によってグリース阻集器内にオゾンをばっ気することでオゾンの持つ殺菌・消臭能力を活用するものが一般的です。
     
    Q:   油脂分解菌(バイ オ菌)を利用する装置をグリース阻集器に後付け設置するのは、なぜいけないのでしょうか。
    A:  油脂分解菌(バイオ菌)をグリース阻集器に利用することについては、全て不可とは言っていません。厨房使用時においてはグリース阻集器内の排水の滞留時問は数分間と非常に短い時問ですので、油脂分解菌との反応時問が十分ではなく、分解できるレベルではありません。油脂分解菌がその能力を十分に発揮するには、グリースとの接触時間が一般的には24時間から48時間必要となります。
 さらに設置されているばっ 気装置が一番の問題で、折角阻集されたグリ ースや堆積残さを撹拌させて排水とともに器外に流出してしまうことが実験によって確認されています。実態調査においてもばっ気装置を付けたグリース阻集器は、器内にグリ ースや残さが無くなっており、排出管において流出したグリ ースが著しく付着 していることが内視鏡調査によって確認さ れており ます。
 なお、少数例でありますが、ばっ気装置を用いた油脂分解菌を利用 したグリース阻集器においては、油脂分解菌の作用 により、グリ ースが減少 している実態を確認しています。そのため、学会規格ではグリース阻集器にばっ 気装置が設置される場合は、油脂分解菌を投入し、ばっ気運転しながら試験することとなっております。
  Q:  油脂分解菌(バイ オ菌)をグリース阻集器に設置して、営業時間外(排水が流れない夜間)だけエアレーショ ンするのは問題ないのでしょうか。
    A:  厨房が停止されている時間内に処理できるのであれば問題ないと考えますが、現時点では 12 時間程度でグリース阻集器に阻集された油脂分を全て分解できる菌は確認さ れていないと認識 しています。
 さらに、厨房開始時にはグリ ース阻集器内が撹拌されているために、非常に高濃度 の排水が流出する危険性があります。
   
    Q:   タイマー等を付けて夜間にばっ気装置を停めて使う場合は認定試験も停めて行うのでしょうか。
    A:  ばっ気装置等が付く場合は阻集性能に影響すると考えられるので、厨房使用時間にそれ等を稼動しない使い方の場合であっても、間違った使われ方をする場合が考えられるので稼動させた状態で試験を行います。
     
    Q:   日本阻集器工業会で認定されたばっ気装置付きグリース阻集器について、そのばっ 気装置のみを別のグリ ース阻集器に誰置すれば、そのグリ ース阻集器は学会規格に適合していることになるのでしょうか。
    A:  日本阻集器工業会での認定品は、グリース阻集器とばっ気装置をセットで認定しており、その処理装置のみを別のグリース阻集器に取り付けても、学会規格に適合 しているとは言え ません。
 尚、現在の規格(SHASE-S217-2016)に基づいて認定されたばっ気装置付きグリース阻集器はありません。
    Q:   ばっ気装置のみで、学会規格に適合している場合はあるのでしょうか。
    A:  学会規格は、「グリース阻集器」ですので、ばっ気装置単体を対象にしておりません。グリ ース阻集器にばっ 気装置が設置された場合のみ対象となります。
    Q:   グリース阻集器の認定試験でバイオ菌による処理効果の評価はできますか。 
    A:  SHASE-S217に基づく阻集性能の評価の為の試験であり、菌による処理効果のを評価する為の試験ではありません。
    Q:   油脂分解菌やオゾン処理することで、何か効果はあるのでしょうか。
    A:  グリース阻集器内の阻集グリースや堆積残さの除去が非常に大変な作業であるとともに、それらが産業廃棄物として処理する必要があることから、それらを油脂分解菌やオゾンにより分解処理して、維持管理を簡単にするためにグリース阻集器内に組み込まれるようになりました。
 ただし、油脂分解菌やオゾン処理で分解できる量そのものが少なく、全く効果は無いとは言えませんが、逆にばっ気により阻集されたグリ ースや堆積残さが流出して、下流の排水管や公共下水道の閉塞事故を起こす要因 となっているの場合が多くあります。
    Q:   「油分を分解する菌又はオゾンなどを利用するばっ気装置の追加設備の禁止」や「油脂分を分解して、排水として流すタイプの油処理剤は使用しない」は工業会の決まりでしょうか。それとも法律・条例等で決められているのでしょうか。
    A:  グリース阻集器へのばっ気の禁止や混ぜて流すタイプの油処理剤の使用禁止については(公社)空気調和・衛生工学会の規格(SHASE-S217-2016)の付属書E(参考)「グリース阻集器の維持管理上の留意点」に書かれており、これを当工業会のホームページに同様の内容で掲載させて頂いております。
 グリース阻集器への菌・酵素・オゾン等の適用やばっ気装置の設置、油処理剤の使用を禁止した法令の存在は存じません。
 しかしながら条例等ではこれ等の禁止や使用を控えるSHASE-S217に準拠した指導がなされている場合が多くあるようですので、具体的なご指導の内容は当該地域の行政窓口にお尋ねください。
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